システムに他のオペレーティングシステムがあり、共存 (デュアルブート) させる場合、インストーラを起動する前に、確実にシャットダウンしてください。他のオペレーティングシステムがハイバネーション (ディスクへのサスペンド) した状態で、オペレーティングシステムをインストールすると、再起動時に、サスペンドしたオペレーティングシステムの状態を、失ったり障害を与える可能性があります。
グラフィカルインストーラで起動する方法は、「グラフィカルインストーラ」 をご覧ください。
ほとんどの人にとって、Debian CD セットを使うのが一番簡単な入手経路かと思います。CD セットが既に手元にあり、かつインストールするマシンが CD から直接起動できるようならツイています! 単に 「ブートデバイスの選択」 の説明に従って、CD から起動できるようシステムを設定したあと、CD-ROM をドライブに入れて再起動し、次の章に進んでください。
CD ドライブに特殊なドライバが必要で、インストール初期にはアクセスできないかもしれないことに注意してください。CD が使えないハードウェアで起動する標準的な方法を知るには、本章に戻って、動くであろう別のカーネルや別のインストール方法について読んでください。
CD-ROM から起動できなくても、希望する Debian システムコンポーネントやパッケージを、おそらく CD-ROM からインストールできるでしょう。単純にフロッピーなどの別のメディアを使って起動してください。OS、基本システム、任意の追加パッケージをインストールする場合、インストールシステムを CD-ROM ドライブに向けてください。
起動に問題があれば、「インストールプロセスのトラブルシューティング」 をご覧ください。
Windows からインストーラを起動するには、「公式 Debian GNU/Linux CD-ROM セット」 や 「USB メモリでの起動用ファイルの準備」 で説明しているように、まず CD-ROM/DVD-ROM や USB メモリの、インストールメディアを入手しなければなりません。
インストール CD/DVD を使用する場合、ディスクを挿入するとプレインストールプログラムが自動的に起動します。自動的に起動しない場合や、USB メモリを使用する場合、デバイスにアクセスし、setup.exe を実行し、手動で起動できます。
プログラム起動後は、いくつか予備的な質問がなされた後、Debian GNU/Linux インストーラを起動する準備が整います。
ハードディスクからインストーラを起動するには、「ハードディスク起動ファイルの準備」 に記述している必要なファイルを、まずダウンロードして配置しなければなりません。
起動のためだけにハードディスクを使用する予定で、ネットワークからすべてダウンロードするのなら、netboot/debian-installer/i386/initrd.gz
ファイルとそれに対応するカーネル netboot/debian-installer/i386/linux
をダウンロードするとよいでしょう。これはインストーラを起動するハードディスクのパーティションを、切り直すことができます。(注意して行ってください)
他の手段としては、インストール中に既存のパーティションを変更しない予定であれば、hd-media/initrd.gz
ファイルとそのカーネルをダウンロードできます。同様に、ドライブに CD (や DVD) の iso (ファイル名が .iso
で終わっているか要確認) をコピーしてください。インストーラをドライブから起動でき、ネットワークを使用せずに CD/DVD イメージからインストールできます。
LILO では、/etc/lilo.conf
の非常に重要な次の 2 点を設定します。
起動時に、initrd.gz
インストーラをロードする。
RAM ディスクをルートパーティションとして使う vmlinuz
カーネルを設定する。
/etc/lilo.conf
の例を示します。
image=/boot/newinstall/vmlinuz label=newinstall initrd=/boot/newinstall/initrd.gz
詳細は initrd(4) や lilo.conf(5) といったマニュアルページをご覧ください。そうしたら lilo
を実行し再起動してください。
GRUB での手順もよく似ています。/boot/grub/
ディレクトリ (時には /boot/boot/grub/
ディレクトリ) に、menu.lst
を配置して、例えばインストーラ用に以下の行を追加してください (/boot
が第一ディスクの第一パーティションにあると仮定します)。
title New Install root (hd0,0) kernel /boot/newinstall/vmlinuz initrd /boot/newinstall/initrd.gz
この後は、GRUB と LILO に違いはありません。
さて、「ブートデバイスの選択」 と 「USB メモリでの起動用ファイルの準備」 の内容すべてを準備しました。それでは USB コネクタに USB メモリを差し込んで、コンピュータを再起動してください。システムが起動したら boot:
プロンプトが表示されるはずです。ここで、オプションのブート引数を入力するか、単に Enter を押してください。
ネットワークからの起動には、ネットワーク接続と TFTP ネットワークブートサーバ (DHCP, RARP, BOOTP) が必要です。
ネットワーク起動をサポートするインストール方法は、「TFTP ネットブート用ファイルの準備」 で説明します。
i386 での TFTP ブートはいろいろな方法があります。
ネットワークインターフェースカードやマザーボードが、PXE ブート機能を提供しているかもしれません。これは Intel™ による、TFTP ブートの再実装です。そうであれば、ネットワークから起動できるように BIOS を設定することができます。
etherboot project では、 TFTP ブートを行うブートディスケットとブート ROM を提供しています。
インストーラを起動する際に、Debian のロゴと次のようなメニューを表示する親しみやすいグラフィック画面を表示します。
Installer boot menu Install Graphical install Advanced options > Help Press ENTER to boot or TAB to edit a menu entry
使用するインストール方法によっては、「Graphical install」 が有効でない場合があります。
通常のインストールでは、「Install」 か 「Graphical install」 のどちらかのエントリを選択し (キーボードの方向キーを使うか、先頭の (強調されている) 文字を入力することで可能)、Enter を押してインストーラを起動してください。
「Advanced options」 エントリでは、インストーラをエキスパートモードやレスキューモード、自動インストール用などで起動できる、第 2 メニューにアクセスできます。
インストーラやカーネルにブートパラメータを追加する必要がある場合は、Tab を押してください。これで、選択したメニューエントリのデフォルトブートコマンドを表示し、追加オプションを指定できます。ヘルプ画面 (後述) では、いくつか共通で使用可能なオプションを列挙しています。オプションを指定してインストーラをブートするには、Enter を押してください。Esc を押すと、ブートメニューに戻り、行った変更を取り消します。
「Help」 エントリを選択すると、有効なヘルプ画面すべての概要を表す最初のヘルプ画面を表示します。ヘルプ画面を表示してしまうと、ブートメニューに戻れなくなってしまうことにご注意ください。とはいえ、F3・F4ヘルプ画面には、メニューに表示する有効なブート方法のコマンドを表示します。ヘルプ画面にはすべて、次のようなブートコマンドを入力できるブートプロンプトがあります。
Press F1 for the help index, or ENTER to boot:
このブートプロンプトでは、Enter を押してインストーラをデフォルトオプションで起動するか、特定のブートコマンドや (追加で) ブートパラメータを入力するかのどちらかを行えます。いくつかの有用だと思われるブートパラメータは、様々なヘルプ画面で見つかります。ブートコマンドラインにパラメータを追加する場合、最初のパラメータの前にまず、ブート方法 (デフォルトは install
) と空白を必ず入力してください (例: install fb=false
)。
この時点では、キーボードをデフォルトのアメリカ英語レイアウトとして扱います。このため、あなたのキーボードが異なる (言語特有の) レイアウトの場合、パラメータを入力する際に画面に表示される文字は、あなたが期待するものと異なる場合があります。Wikipedia には、使用する正しいキーを見つけるための参照に使用できる、US キーボードレイアウトの図 があります。
シリアルコンソールを使用するのに BIOS の設定が必要なシステムを使用している場合、インストーラ起動時の最初のグラフィカルスプラッシュ画面を見ることができないでしょうし、さらにはブートメニューも見ることすらできないでしょう。テキストインタフェースを VGA コンソールに提供する、リモート管理デバイス経由でインストールしている場合も同じことが起こります。こういったデバイスの例は、Compaq の 「integrated Lights Out」 (iLO) や HP の 「Integrated Remote Assistant」 (IRA) のテキストコンソールを含みます。
グラフィカルブート画面をバイパスするため、テキストブートプロンプトを得るのに、見えない状態で Esc を押すか、(同様に見えない状態で) 「H」 に続いて Enter を押して、前述の 「Help」 オプションを選択できます。この後、キー入力をプロンプトに表示するようになるはずです。インストールの残りの作業で、インストーラがフレームバッファを使用しないようにするには、ヘルプテキストにあるように、ブートプロンプトに vga=normal fb=false
を追加したくなるでしょう。